相続税における有価証券の評価方法|株式・債券の評価をわかりやすく解説
相続税における有価証券の評価方法|株式・債券の評価をわかりやすく解説
亡くなった方が株式や債券などの有価証券を保有していた場合、それらは相続財産として相続税の課税対象になります。しかし、有価証券の値打ちは日々変わるため、「相続税を計算する時点で、どの価格で評価するのか」が大切なポイントです。この記事では、相続税における有価証券の評価方法について、初心者にもわかりやすくご説明します。
相続税で有価証券が評価される理由と基本ルール
相続税は、亡くなった方が遺した全ての財産に対してかかります。現金や不動産だけでなく、株式や債券などの有価証券も例外ではありません。ただし、有価証券は時間とともに価値が変動するため、相続税の申告時には特定の日時の価格で評価することが税法で定められています。
相続税申告において有価証券を評価する際の基本ルールは以下の通りです。
- 評価日:亡くなった日(被相続人が死亡した日)の終値で評価します
- 評価基準日の選択肢:被相続人が死亡した日の翌月末までの間で、最も近い評価基準日の価格も使用できる場合があります
- 相続税の基礎控除:基礎控除額は「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」です
有価証券をいくらで評価するかによって、相続税がかかるかどうかが変わることもあります。そのため、正確な評価方法を理解することは、節税対策の出発点となるのです。
上場株式の評価方法|最も一般的なケース
上場株式(東京証券取引所など公開市場で取引されている株式)は、評価が比較的明確です。以下の4つの価格のうち、最も低い価格で評価します。
| 評価方法 | 説明 |
|---|---|
| ① 被相続人の死亡日の終値 | 亡くなった日の株価 |
| ② 死亡日の属する月の平均株価 | その月の毎日の終値を平均したもの |
| ③ 死亡日の属する月の前月の平均株価 | 前月の毎日の終値を平均したもの |
| ④ 死亡日の属する月の前々月の平均株価 | 前々月の毎日の終値を平均したもの |
具体例:
A さんが 2026年4月15日に亡くなり、保有していたX 社株(上場株)の評価を行う場合を考えます。
- 4月15日の終値:3,000円
- 4月の平均株価:2,950円
- 3月の平均株価:2,900円
- 2月の平均株価:3,100円
この場合、最も低い2,900円(3月の平均)で評価します。100株保有していれば、評価額は290,000円となります。
非上場株式の評価方法|複雑だが重要
非上場株式(家族経営の企業など、公開市場では取引されていない株式)の評価は、上場株式よりも複雑です。税法で定められた3つの評価方法があります。
- 純資産価額方式
企業の総資産から負債を差し引いた純資産を基に評価します。安定した資産を多く保有する企業(不動産賃貸業など)で用いられることが多いです。
- 類似業種比準価額方式
同じ業種の上場企業と比較して、営利利益や配当などを基準に評価します。一般的な製造業や卸売業で使われます。
- 配当還元方式
配当金を基に評価する最も簡潔な方法です。少数株主の株式評価に適用されることが多いです。
非上場株式の評価は、企業の規模や事業内容によって大きく異なるため、税理士への相談が強く推奨されます。特に家業を承継する場合は、評価額によって相続税が大きく変わります。
債券やその他有価証券の評価
債券(国債、社債など)は、以下のように評価します。
- 発行価格100円の場合:相続日現在の取引相場で評価
- 取引相場がない場合:利息と償還金を現在価値に割り引いて評価
その他の有価証券(公社債投資信託、ETF など)も、基本的に相続日の市場価格で評価されます。上場していないものは、発行者が公表する基準価額を用いることが多いです。
評価日の選択と申告時の注意点
有価証券の評価では、「いつの価格を使用するか」という選択が重要です。
- 相続直後に株価が大きく下落した場合、「死亡日の翌月末までの最も近い基準日の価格」を選ぶことで、より低い価格で評価でき、相続税を減らせる可能性があります
- ただし、この特例は選択式であり、申告時に正しく選択する必要があります
- 間違った評価で申告すると、後から修正申告や税務調査に対応する必要が生じます
相続税の申告・納税期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。この間に有価証券の正確な評価を完了させ、申告書を提出する必要があります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 相続した株が配当を出していない場合、評価はどうなりますか?
A. 配当の有無に関係なく、相続日の市場価格(上場株の場合)または企業の業績に基づいた評価(非上場株の場合)で評価されます。配当がない企業の株であっても、相続税の対象になることをご注意ください。
Q2. 相続直後に保有していた株式を売却しました。売却価格で評価を変更できますか?
A. いいえ。相続税の評価は、相続日時点の価格で固定されます。その後売却してもいくらで売れたかは関係ありません。相続日と売却日の差分は、所得税の対象となる可能性があります。
Q3. 外国の株式や海外の債券を持っていた場合、どのように評価されますか?
A. 外国の上場株式は、相続日時点の日本円換算レートで、現地の市場価格を評価します。詳細な手続きは複雑なため、税理士に相談することをお勧めします。
Q4. 非上場企業の株を評価してもらうには、どうすればよいですか?
A. 税務署の評価通達に基づいて評価する必要があります。自分で計算することは難しいため、税理士や公認会計士に依頼し、適切な評価方法を選んでもらうことが重要です。不正確な評価による修正や加算税を避けるためにも、プロへの相談をお勧めします。
まとめ
相続税における有価証券の評価のポイントをまとめました:
- 上場株式は 4 つの価格のうち最も低いものを選べ、評価方法は比較的明確
- 非上場株式は複数の評価方法があり、専門知識が必要
- 評価日は相続日またはその翌月末までの基準日から選択可能
- 評価額が相続税の課税判定を左右する重要な要素
- 誤った評価は修正申告や税務調査の対象になる可能性
有価証券を多く相続する場合や、非上場株式が含まれている場合は、早めに税理士に相談し、正確な評価と申告を進めることが相続対策の第一歩です。無料の相続税シミュレーションサービスも活用し、相続税がかかるかどうかを確認しておくと安心ですよ。